監督・撮影:河邑 厚徳 製作:佐喜眞 道夫
音楽監督:尾上 政幸 編集:荊尾 明子 作曲:川田 俊介 助監督:佐喜眞 淳
資料リサーチ:上間 かな恵 CG制作:中村 照雄 配給:海燕社
2023年 / 88分 / 16:9 / 日本 / ドキュメンタリー
©2023 佐喜眞美術館、ルミエール・プラス
沖縄の風景が美しければ美しいほど、
やさしければやさしいほど、沖縄の惨劇は胸をえぐる
広島・長崎の核爆発の凄絶さを《原爆の図》15部に描きつづけた丸木 位里・丸木 俊が、晩年に取組んだのが地上戦を体験した沖縄戦だった。
「沖縄はどう考えても今度の戦争で一番大変なことがおこっとる。原爆をかき、南京大虐殺をかき、アウシュビッツをかいたが、沖縄を描くことが一番戦争を描いたことになる」(丸木 位里)
「戦争というものを、簡単に考えてはいけないのです。一番大事なことがかくされて来た、このことを知り深く掘り下げて考えなければなりません」(丸木 俊)
このドキュメンタリーは、全14部をすべて紹介する初めての試みである。地上戦を生き延びた沖縄の人びとの切実な「命どぅ宝(命こそ宝)」に共感共苦した、丸木夫妻の「人間といのち」への深い鎮魂と洞察の軌跡をたどる物語である。
1982~87年、丸木夫妻は沖縄に通い続け、地上戦の「現場」に立ちながら沖縄戦を連作14部に描いた。ふたりは、沖縄島や近隣諸島をめぐり、体験者の話に全身全霊を傾け、沖縄に関連する160冊以上の本を読み、研究者を訪ねた。戦後78年、いまなお癒えることのない戦争の心の傷から絞り出すように語られた証言に〈かたち〉を与えていった。
全14部は、宜野湾市の佐喜眞美術館にすべて収蔵されている。
(広島県生まれ 1901ー1995)
1901年6月20日に広島で生まれる。戦前には前衛的な美術団体である歴程美術協会や美術文化協会に加わり、抽象やシュルレアリスム(超現実主義)を取り入れた独自の水墨画を発表して高い評価を受けた。1941年に油彩画家の赤松俊子(のちの丸木俊)と結婚。夫婦共同制作で《原爆の図》の制作に取り組み、30年以上の歳月をかけて15部の連作を完成。その一方で風景を中心としたスケールの大きな水墨画を数多く残している。
(北海道生まれ 1912ー2000)
1912年2月11日に北海道で生まれる。女子美術専門学校(現・女子美術大学)で油絵を学び、その後、モスクワ、ミクロネシアに滞在。油絵やスケッチを多数描き、二科展に入選した。1941年に水墨画家の丸木位里と結婚。戦後は《原爆の図》をはじめ《南京大虐殺の図》、《アウシュビッツの図》、《水俣の図》、《沖縄戦の図》など夫婦共同制作を発表。すぐれた絵本作家としても知られ、今も多くの人に読み継がれている。
2022年は、復帰50年となり、メディアはこぞって沖縄戦を取り上げた。 その中にあって、この映画は絵画だけで戦争の全体像を浮き上がらせようとする一つの試みである。歴史は時間とともに遠くなり忘れられていくものだが、絵画はいつも見るたびに、いま現在の体験となる。時間を止めてリアルタイムで戦争の災禍を伝えられるのは藝術の持つ力である。昨年の慰霊の日に小学二年生の徳元穂菜さんは佐喜眞美術館で見た〈沖縄戦の図〉に衝撃を覚え平和の詩を作った。このように世代を超えて沖縄戦を伝えることは画家の願いであった。画家・丸木 位里、丸木 俊の大作〈沖縄戦の図〉は広島・長崎の原爆の図を描き上げた後に制作した戦争悪と日本軍の愚かさを未来へ伝える世界レベルの作品である。位里は「沖縄を描くことが一番戦争を描いたことになる。沖縄戦の写真はすべてアメリカが映した写真。日本人がとったのは1枚もない。日本人側からみたかたちを残しておかなきゃならん」と語り、俊は「この絵は私たちと戦争体験者との共同制作です」と話す。最晩年の二人が激戦地を歩き、遺族に会い、琉球文化と芸能を創作のエネルギーに渾身の14作が生まれた。その絵を沖縄に全作品を置きたいという真摯な願いにこたえて、その全作品は宜野湾の佐喜眞美術館に収められた。このアートドキュメンタリーは全14部をのこらず紹介する初めての試みであり、画家の思考の軌跡をたどる謎解きの物語となった。ウクライナでの戦争が続く今こそ、アートは平和の祈りを運ぶ箱舟である。
監督
河邑 厚徳
新垣 成世 / 石川 文洋 / 島袋 由美子 / 平良 修 / 平良 悦美 / 山城 博明 / 吉川 嘉勝 / 真喜志 好一 / 佐喜眞 道夫 / 丸木 ひさ子 / 本橋 成一 / 平仲 稚菜 / 岡村 幸宣 / 知花 昌一 / 金城 実 / 山内 徳信 ※出演順
ナレーション:ジョン・カビラ / 山根 基世
2023年/88分/16:9/日本/ドキュメンタリー
※上映劇場・時間は、変更になる場合があります。
※ご鑑賞の前に必ず、各上映館の公式サイトにて、詳細なスケジュールをご確認ください。
03-3280-0099
上映終了
0422-20-9031(高木)
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03-3371-0088
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03-6240-8480
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090-8311-6678
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03-3328-1008
090-9470-7136(長嶺)
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0980-75-3215
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稲葉:070-1629-6072 中山:080-1227-8836
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098-932-1949
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098-985-2444
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098-850-8485
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070-5401-1072
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080-9850-7386/okiwart.movie.joei@gmail.com
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022-728-7866
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024-533-1515
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0978-25-4433
上映終了
0977-21-1192
上映終了
097-536-4512
上映終了
0985-28-1162
《原爆の図》を携えて世界中を巡った丸木位里・丸木俊は、生活の場が戦場となる地上戦を体験しなかった日本人は、地上戦を体験した沖縄の人びとから学ばねばならない、と考える人でした。1983年、丸木夫妻が「沖縄戦に取り組んでいる」という新聞報道に触れた時、私は心の底から爆発的な喜びを感じ、今から考えても不思議なのですが、沖縄の人間として丸木夫妻にお礼がしたいとまで思いました。ボーっと生きていた私の心の奥底に火をつけてくれたのが《沖縄戦の図》でした。 10年後の1994年、佐喜眞美術館が完成すると、多くの人びとが次々に来館し、私を《沖縄戦の図》の前に導いて「私はこのモデルになりました」と、丸木夫妻に話した自らの沖縄戦の体験や画家と交流を楽しそうに語ってくれました。地獄の地上戦を生き延びた人びとの「二度とこのような戦争を起こしてくれるな」「私の子や孫がこのような戦争に巻き込まれることは絶対に許さない」という思いを熱く語り、歴史的な絵の制作に参加できたことに誇りをもって喜んでおられるようでした。 沖縄戦の体験に共感共苦しながら受けとめたふたりの画家の誠実さと巨大な思想によって《沖縄戦の図》は普遍的な芸術作品となりました。そして絵の前に立つ来館者が、特に若い世代の人たちが画面の奥の真実を確実に受けとめていく様子に私は日々励まされています。 このような丸木夫妻の意義深い《沖縄戦の図》14部の世界を広く社会に伝える為に、今回、河邑さんにお願いしました。ひとりでも多くの方々に観てもらいたい映画が完成したことを感謝しております。
佐喜眞美術館 館長
佐喜眞 道夫