佐喜眞美術館

Sakima Art Museum

開催中の展覧会

本橋成一 在り処 Seiichi Motohashi Sense of Place展

【会期】 8月2日(木)〜9月3日(月)

本橋成一 在り処 Seiichi Motohashi Sense of Place 展(チラシ表)
本橋成一 在り処 Seiichi Motohashi Sense of Place 展(チラシ裏)

本橋成一 在り処 Seiichi Motohashi Sense of Place展(展示作品紹介)[PDF:653KB]

主催:佐喜眞美術館
企画協力:IZU PHOTO MUSEUM、ポレポレタイムス社
後援:琉球放送、沖縄テレビ、琉球朝日放送、琉球新報社、沖縄タイムス社、ラジオ沖縄、FM沖縄
出品作品:「炭鉱〈ヤマ〉」「位里と俊」「チェルノブイリ」など約140点

 本橋成一(1940〜)は1960年代から市井の人々の姿を写真と映画という二つの方法で記録してきたドキュメンタリー作家です。デビュー作1968年「炭鉱〈ヤマ〉」で第5回太陽賞、’98年「ナージャの村」で第17回土門拳賞、’02年映画「アレクセイと泉」で第12回サンクトペテルブルク国際映画祭グランプリを受賞するなど国内外で高い評価を受けています。本橋は一貫して炭鉱、サーカス、屠場、原発など社会の根幹で生きる人間の「いのち」の営みを写し続けてきました。また、水俣や丸木位里・俊夫妻のドキュメンタリー映画を撮影した土本典昭監督との仕事を通して二人の画家の人間性に惹かれ、埼玉の丸木美術館や沖縄など”丸木通い”のなかで人間・丸木位里、人間・丸木俊の世界を写し出しました。
 沖縄で初の個展となる本展では、師と仰ぐ記録文学作家の上野英信から多大な影響を受け、本橋の原点ともなる「炭鉱」、厳しい共同制作を支えた丸木夫妻の日常を写し出した「位里と俊」、半世紀にわたる作家活動の代表作に未発表の初期シリーズを収録した写真集「在り処」(発行IZU PHOTO MUSEUM、2016年)より選んだ「炭鉱〈ヤマ〉」「奄美」「雄冬」「上野駅」「屠場」「サーカス」「チェルノブイリ」「アラヤシキ」など約80点と映画上映を通し、本橋成一の表現世界の軌跡を紹介します。

【代表作品の紹介】

炭鉱〈ヤマ〉(1964年〜)

本橋成一の鞍手、福岡 1965年

鞍手、福岡 1965年

1968年に「炭鉱<ヤマ>」で第5回太陽賞を受賞。東京綜合写真専門学校の卒業制作として撮影をはじめ、その後数年間にわたり何度も九州や北海道の採炭地に通い炭鉱住宅の日々を撮影する。筑豊(福岡)で暮らす記 録文学者・上野英信氏との出会いが本格的に写真にのめり込むきっかけとなった。60年代のエネルギー革命で燃料の主役は石炭から石油へ移行し、多くの炭鉱が閉山 に追い込まれた。

サーカス(1976年〜)

本橋成一の関根サーカス 沼津、静岡 1976年

関根サーカス 沼津、静岡 1976年

かつてないスピードで街が様変わりした戦後・昭和という時代のなかで「テントという空間のなかに、芸人さんや裏方さんの生活や人生が渦巻いて」いたサーカスは本橋にとって魅力的な被写体だった。最盛期には全国で30団以上あったサーカス団も次々に事業を停止し、現在確認できるのは2団体のみの活動となっている。

上野駅(1980年〜)

本橋成一の上野駅(1980 年-)

上野駅、東京 1981年

1985 年に東北・上越新幹線が大宮まで延伸される前に「ターミナル駅としての最後の風景」を撮影した 作品。かつての上野駅は、東京と東北を結ぶ玄関口として出稼ぎの労働者をはじめとした雑多な人々が行き交い時間を過ごす「広場」であり、人と駅の関係は、無数の幕間の物語をうみだしていた。かつては人の手で行っていた列車運行案内も現在は電動式列車案内板に変わっている。

位里と俊(1985年〜)

本橋成一の読谷、沖縄 1987年

読谷、沖縄 1987年

ふたりで一枚の絵を描くという世界でも稀な共同制作で <原爆の図>をはじめ、南京大虐殺、アウシュビッツ、水 俣、沖縄戦など数多くの大作を描いてきた丸木位里、丸木 俊。そんなふたりの人間性に魅せられた本橋成一が1980年代なかばから丸木美術館や<沖縄戦の図>を制作するために滞在していた読谷村へも同行し、二人の画家の共同 制作の現場や、生き生きとした暮らしの風景を撮り続けた。

屠場〈とば〉(1986年〜)

松原、大阪 1986年

松原、大阪 1986年

大阪・松原市の新旧屠畜場で働く人々の記録。昔からの手法で牛を屠畜・解体加工していた1980年代から撮影を始めた。現在はほとんどの作業が機械化されている食肉加工の屠畜場もかつては多くの行程が熟練の職人技の世界だった。屠畜場での労働を1冊にまとめた日本初の写真集『屠場』が刊行されたのは2011年。日本では差別視されてきた職場としての背景ということもあり、カメラが入ることは少なかった。
※大阪では屠場を「とば」と読む。

チェルノブイリ(1991年〜)

本橋成一のドゥヂチ村、ベラルーシ共和国 1996年

ドゥヂチ村、ベラルーシ共和国 1996年

旧ソビエト連邦(現ウクライナ)にあったチェルノブイリ原子力発電所で 1986年4月26日、人類史上未曽有の大事故が起きた。本橋は5年後の1991年、日本チェルノブイリ連帯基金からの誘いがきっかけで初めてチェルノブイリの原発とその周辺地域を撮影した。その後30回以上その地に通い、被災地ベラルーシの汚染地域で愛しい故郷を離れず暮らす村民を記録し続ける。これまでに3冊の写真集『無限抱擁』『ナージャの村』『アレクセイと泉』と2作品の映画「ナージャの村」「アレクセイと泉」を完成させた。

◎上記以外の展示作品シリーズ

・初期作品:「雄冬」(1963年)
・初期作品:「与論」(1964年)
・最新作品:「アラヤシキ」(2011年-)

[関連イベント]

◎トークイベント:本橋成一 x 仲程昌徳(元琉球大学教授・ひめゆり平和祈念財団理事長)x 佐喜眞道夫(佐喜眞美術館館長)

日時:8月4日(土)15:00〜16:30
会場:佐喜眞美術館展示室
料金:入館料
※要申し込み お電話にてお申し込みください
TEL:098-893-5737

◎本橋成一監督映画上映会

◆「アラヤシキの住人」(2015/117分)

「アラヤシキの住人たち」(2015/117 分)
長野県小谷村の山中の車の通わない山道を1時間半歩くとあらわれる「アラヤシキ」。ちょっと風変わりな人びとが集い、互いにできることを担いあいながら自然とともに暮らす共働学舎の記録。

日時:8月11日(土)16:00 〜
会場:佐喜眞美術館展示室
料金:1000円(入館料込)
定員:50名
※申し込み不要 先着順

◆「アレクセイと泉」(2002/104分)+「ベラルーシ再訪2017」(2017/35分)

「アレクセイと泉」(2002/104 分)+「ベラルーシ再訪 2017」(2017/35 分)
1986年4月26日に起こったチェルノブイリ原発(旧ソ連・現ウクライナ共和国)の爆発事故で被災したベラルーシ共和国東南部にある小さな村ブジシチェ。その村にある〈泉〉からは、畑からも、森からも、採集されるキノコからも検出される放射能が検出されない。「なぜって?それは百年前の水だからさ」と誇りをもって答える村人たち。映画撮影から15年後にベラルーシの人々を訪ねた映像とともに、私たちにとっての本当の豊かさとは何か、を静謐に語りかけます。

日時:8月18日(土)16:00 〜
会場:佐喜眞美術館展示室
料金:1000円(入館料込)
定員:50名

本橋 成一(もとはし・せいいち)

【略歴】
写真家・映画監督 1940年東京生まれ。63年自由学園卒業。65年東京綜合写真専門学校卒業。68年「炭鉱〈ヤマ〉」で第5回太陽賞受賞。95年「無限抱擁」で日本写真協会賞年度賞、写真の会賞を受賞。98年「ナージャの村」で第17回土門拳賞受賞。17年、第33回写真の町東川賞国内作家賞受賞。映画「ナージャの村」(1997)、「アレクセイと泉」(2002)、「ナミィと唄えば」(2006)、「バオバブの記憶」(2009)、「アラヤシキの住人たち」(2015)を監督。主な展覧会に「ナジェージダー希望」(東京都写真美術館、2002)「本橋成一 在り処」(IZU PHOTO MUSEUM、2016)など。主な写真集に『ナージャの村』(平凡社、1998)、『アレクセイと泉』(小学館、2002)、『屠場』(平凡社、2011)、『上野駅の幕間』(新版、平凡社、2012)、『サーカスの時間』(新版、河出書房新社、2013)、『炭鉱〈ヤマ〉』(新版、海鳥社、2015)、『無限抱擁』(新版、西田書店、2016)、『在り処』(NOHARA、2016)、『築地魚河岸ひとの町』(朝日新聞出版、2016)などがある。